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書評詳細

「海外パッケージ旅行発展史」

著者澤渡 貞男
出版社彩流社
発刊日2009年10月刊
書評執筆者山上  徹
書評執筆者所属同志社女子大学現代社会学部
書評公開日2010.05.17

書評
 旅行会社はかつて部品をアッセンブルするという「旅行屋」に過ぎなかったが、21世紀は「情報産業と一体の海外旅行産業」へと進化するべきとの問題意識から本書が刊行されたといえよう。

 というのも、1964年、海外渡航の自由化がなされ、多くの日本人が海外旅行へと出かけた。そのため、旅行産業は「右肩上がり」の花形産業として扱われ、旅行業界は急速に成長できた。また、旅行業界は大学生の就職先の憧れの業種でもあった。

 たしかに今日でも、パッケージ・ツアーの広告が毎日、新聞に華々しく賑わしている。しかし、近年、花形産業であった海外旅行産業は大きなエポックにさしかかっているという認識が一般的である。この先、旅行産業はどのように変化するべきであろうか。旅行者が夢と幸せを感じ、旅行産業に働く人びとに生きがいのある職場を提供するにはどのような進化が必要になるのであろうか。それを考えるに当たり、再度、海外渡航の自由化後からの海外旅行の歴史を再検証する必要性があると、著者は強調する。

 著者は現代、日本人は何に価値を見だすかという問題意識から、付加価値の高い旅行商品づくりが大切という。付加価値の高い旅行商品にはお客に対する様々の知的な刺激、いわゆる各種の情報を有機的に結びつけた旅行商品づくりが必要になる。著者は今後の海外旅行産業を展望して、情報産業としての進化が生き残る道であると提起している。

 しかし、わが国の海外旅行者数は観光立国のビジェット・ジャパン・キャンペーンの数値目標(2010年、2千万人)を超え難く、いまだ1,500万人台の停滞状況が続いている。とくに、海外旅行には外部環境というべき統制不可能な要因が多く介在している。そのため、一旅行会社の努力だけで需要創造できる要因には自ずと限界が存在する。

 とはいえ、本書ではパッケージ旅行が誕生してから現在までの旅行の変遷が簡潔に整理され、論述してある。旅行産業の関係者をはじめ、旅に関心がある方々が本書を一読されるならば、海外旅行の諸相が平易に理解できることであろう。

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