事業報告
日本国際観光学会が行った事業の報告です。すべての方がご覧になれます。
書評詳細
「航空会社と空港の福祉的対応」
| 著者 | 島川 崇 |
|---|---|
| 出版社 | 株式会社福祉工房 |
| 発刊日 | 2008年7月刊 |
| 書評執筆者 | 堀 和秀 |
| 書評執筆者所属 | 日本国際観光学会副会長 |
| 書評公開日 | 2008.09.01 |
書評
昨年、本学会会員でもあり、日本の観光バリアフリーを長年にわたって推進されてきた草薙威一郎さんが亡くなった。実践と理論を兼ね備えた稀有の有識者を失ったことで、日本の観光分野において福祉的対応が大きく後退したと言っても過言ではない。そのような中、本学会でも異彩を放つ若手論客の島川崇会員が東北福祉大で福祉観光を推進し、その研究成果として今回r航空会社と空港の福祉的対応」を上梓されたことは、観光バリアフリーの分野において大きな意味があると言える。
本書は最初から最後まで一貫して「すべての」というキーワードでまとめられている。rすべての」公共交通機関、駅、車両がバリアフリー化され、「すべての」関係者が福祉マインドを持つようになり、「すべての」人が幸せに感じる世の中になって欲しいと島川会員は訴える。本書は「航空会社と空港の...」と銘打ってはいるが、航空会社の先進的な取組を鉄道、バス、タクシー等その他の公共交通機関の関係者、車両の製造者、自治体の関係者に広く知ってもらいたいとの意向が強く現れている。
福祉的対応というものは一朝一夕に出来るものではなく、長年の地道な積み重ね以外に有効な処方箋はない。日本航空は民営化後の国内線の劣勢を挽回するために、当時どの交通機関も積極的に関与しなかった福祉的対応に関して、プライオリティゲストセンターを世界に先駆けて立ち上げ、地道に取組んできた。その結果、プライオリティゲストの搭乗者数は着実に増加していった。その地道な取組は他社へと波及し、現在、航空分野では当たり前となったサービスが数多くあり、本書ではそれを丁寧に紹介している。また、福祉と観光の理論だけでなく、要介護の観光客が訪れることに関する観光地に住む人々に対するマーケテイング調査結果や、島川会員の日本航空での福祉的対応の経験も書かれていて、読み物としても興味深い。
実は私自身IATA運賃調整会議に日本航空代表として出席していた27年前に、「身障者割引運賃」の導入を真筆に提案したことがあるが、国毎に身障者の認定基準が異なるため、世界規模では導入できなかったという経験がある。
島川会員は福祉的対応を研究し始めてから、心なしか角が取れてきたように感じるが、まだ38歳と若い。これからも是非観光分野の福祉的対応に関して地道に研究活動を重ね、研究成果を発表していただきたいと思う。
本書は最初から最後まで一貫して「すべての」というキーワードでまとめられている。rすべての」公共交通機関、駅、車両がバリアフリー化され、「すべての」関係者が福祉マインドを持つようになり、「すべての」人が幸せに感じる世の中になって欲しいと島川会員は訴える。本書は「航空会社と空港の...」と銘打ってはいるが、航空会社の先進的な取組を鉄道、バス、タクシー等その他の公共交通機関の関係者、車両の製造者、自治体の関係者に広く知ってもらいたいとの意向が強く現れている。
福祉的対応というものは一朝一夕に出来るものではなく、長年の地道な積み重ね以外に有効な処方箋はない。日本航空は民営化後の国内線の劣勢を挽回するために、当時どの交通機関も積極的に関与しなかった福祉的対応に関して、プライオリティゲストセンターを世界に先駆けて立ち上げ、地道に取組んできた。その結果、プライオリティゲストの搭乗者数は着実に増加していった。その地道な取組は他社へと波及し、現在、航空分野では当たり前となったサービスが数多くあり、本書ではそれを丁寧に紹介している。また、福祉と観光の理論だけでなく、要介護の観光客が訪れることに関する観光地に住む人々に対するマーケテイング調査結果や、島川会員の日本航空での福祉的対応の経験も書かれていて、読み物としても興味深い。
実は私自身IATA運賃調整会議に日本航空代表として出席していた27年前に、「身障者割引運賃」の導入を真筆に提案したことがあるが、国毎に身障者の認定基準が異なるため、世界規模では導入できなかったという経験がある。
島川会員は福祉的対応を研究し始めてから、心なしか角が取れてきたように感じるが、まだ38歳と若い。これからも是非観光分野の福祉的対応に関して地道に研究活動を重ね、研究成果を発表していただきたいと思う。


