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事業報告

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書評詳細

「コノシュア・シニア留学」- シニア世代のための、記憶に残る旅のすすめ -

著者松岡 昌幸
出版社アップフロント・ブックス
発刊日2008年9月刊
書評執筆者常泉 秀昭
書評執筆者所属流通経済大学非常勤講師
書評公開日2008.11.01

書評
著者は、留学支援団体において長年の実務経験を積んだ、この道のプロフェッショナルである。本書は、一口で言えば、留学(留まって学ぶ)という視点からシニア世代の海外旅行のあり方を考察したシニア世代の為の指南書。
留学とは一般的な概念としては、よその土地、特に外国に長期間滞在し、継続して学芸・技術を学ぶことであるが、確かに著者が指摘するように、今日の留学は必ずしも知識・技術の修得目的等による狭い範囲の事がらに限られたものではない。もっと広くはそれを支える基盤としての広義の「文化」の探求、つまりは文化的学習としての留学形態への関心を強めた観光旅行的・異文化体験的な「遊学」へと変容しているものと考えられる。
著者は数多くの統計的データを基に、今日の観光旅行的な留学形態の変容分析を踏まえて、留学と今日の旅行の関係性や整合性を追及し、さらに留学(留まって学ぶ)という概念から、今後の新たな「コノシュア」(目利き、こだわり)の視点を導入して、観光地や都市(地域)の紹介や、「こだわった」旅のあり方を考察した。言い換えれば、今日の旅行形態に顕著な物見遊山的な大量・大衆旅行に対抗する、サステイナブル・ツーリズム(持続可能な旅行)の有効性を求めるものとも言える。そして著者自ら描写した留学の基本構造(文化・文明)の類型化と、既に類型化されている世界遺産の構造面(文化・自然・複合)を比較分析することにより、その普遍性の意味や問題点、そしてその普遍的価値が孕む二律背反性(アンチノミー)を指摘したことは大変興味深い。
さらに結論として、記憶に残る旅形成を主眼に、単なる消費だけの旅ではなく、何か能動的に生産する旅形成(マス・ツーリズムからポストモダン・ツーリズムへの転進)への演繹的な生産プロセスモデル(旅する場の哲学)は、今後の持続可能性を考える上において重要な示唆を与えるものである。それはアラン・ド・ポドン作の『旅する哲学』?大人のための旅行術を思い出される作でもあり、その作をより具体的に叙述させた作と言っても良い。
いずれにしても、本書は斬新な視点から旅形態(留学形態)を考えた作であり、今後の観光教育の中の重要課題である「旅育」(たびいく)や「次世代ツーリズムの創出」を考える上においては重要な一冊であると考えられる。

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