事業報告
日本国際観光学会が行った事業の報告です。すべての方がご覧になれます。
書評詳細
「観光振興論 - 観光協力等の実践を踏まえて」
| 著者 | 新井 佼一 |
|---|---|
| 出版社 | (財)国際観光サービスセンター |
| 発刊日 | 2008年10月刊 |
| 書評執筆者 | 向山 秀昭 |
| 書評執筆者所属 | 日本国際観光学会副会長 |
| 書評公開日 | 2008.11.01 |
書評
「観光立国推進法」や「観光圏整備法」が制定され、国も地方自治体も観光振興に本格的に取り組む体制が整ってきた。観光庁も発足した。観光振興にはハードの施設も必要であるが、旅行者の観光行動に根ざしたまちづくりや商品設定などソフト面での対策が何よりも重要であり、知識と経験を備えた観光のプロフェッショナルの養成がこれからの課題になる。日本人は目に見えるものを扱うことは得意であるが、目に見えない価値や時間をかけてひとつのことを実現して行くことには余り慣れていない。欧米流の近代ツーリズムが日本になかなか根付かない理由である。
そのよう中で今回世界の観光地や観光開発の流れを日本の観光振興の歴史を対比しつつ紹介する良書が発刊された。著者の新井佼一氏は元々運輸省の出身で、同省及び外務省において観光分野の国際協力を担当するなど観光行政に広く関わり、JNTOにおいてはロンドン観光宣伝事務所長および同理事として日本のインバウンドの振興に努めたほか、約10年間にわたり(財)国際観光開発研究センター(ITDIJ)の専務理事として数多くの開発途上国の観光振興に先頭に立って打ち込んできた観光の専門家である。これまで訪問した国は70カ国以上、それぞれ時の政府当局者や観光業界の指導層と対話するとともに、自身旅行者としての体験も積み重ねてきた。今回、これらの経験を踏まえ、その集大成として、幅広い視点で観光振興を論じた本書を刊行したものである。
本書はA5版、302頁に及ぶ大著であり、「日本の国際観光政策の変遷とJNTOの役割」、「観光法制と観光協力」、「観光資源論」、「観光大学に関する一考察」、「観光の腐敗または堕落」、「旅の危機管理」、「持続可能な観光」、「体験的乗り物論」、「体験的宿泊施設論」、「体験的受入施設論」、「わがシルクロード」などの各章からなっている。日本の国際観光政策の変遷と観光法制については類書に見ない詳細な情報収集と分析がなされており、資料的な価値がきわめて高い。また、従来あまり議論されてこなかった「観光振興」および「観光資源」の概念について、著者独自の概念整理と分類がなされており研究上の興味と示唆を与えてくれる。全編を通じて随所に世界各地の観光地と観光資源が紹介されていてこれらを訪れる諸外国の観光客の観光行動の特徴とともに興味を抱かせる。中でもシルクロードに対する著者の思い入れは一際強いようだ。脚注と参考文献も丁寧に列挙されていて後学の便となるであろう。グローバルな視点から観光を考える上で示唆に富む著作であると言えよう。特に日本の国際観光政策の変遷と観光法制に関する部分は大学における観光学教育の教科書としても有用であると思われる。
そのよう中で今回世界の観光地や観光開発の流れを日本の観光振興の歴史を対比しつつ紹介する良書が発刊された。著者の新井佼一氏は元々運輸省の出身で、同省及び外務省において観光分野の国際協力を担当するなど観光行政に広く関わり、JNTOにおいてはロンドン観光宣伝事務所長および同理事として日本のインバウンドの振興に努めたほか、約10年間にわたり(財)国際観光開発研究センター(ITDIJ)の専務理事として数多くの開発途上国の観光振興に先頭に立って打ち込んできた観光の専門家である。これまで訪問した国は70カ国以上、それぞれ時の政府当局者や観光業界の指導層と対話するとともに、自身旅行者としての体験も積み重ねてきた。今回、これらの経験を踏まえ、その集大成として、幅広い視点で観光振興を論じた本書を刊行したものである。
本書はA5版、302頁に及ぶ大著であり、「日本の国際観光政策の変遷とJNTOの役割」、「観光法制と観光協力」、「観光資源論」、「観光大学に関する一考察」、「観光の腐敗または堕落」、「旅の危機管理」、「持続可能な観光」、「体験的乗り物論」、「体験的宿泊施設論」、「体験的受入施設論」、「わがシルクロード」などの各章からなっている。日本の国際観光政策の変遷と観光法制については類書に見ない詳細な情報収集と分析がなされており、資料的な価値がきわめて高い。また、従来あまり議論されてこなかった「観光振興」および「観光資源」の概念について、著者独自の概念整理と分類がなされており研究上の興味と示唆を与えてくれる。全編を通じて随所に世界各地の観光地と観光資源が紹介されていてこれらを訪れる諸外国の観光客の観光行動の特徴とともに興味を抱かせる。中でもシルクロードに対する著者の思い入れは一際強いようだ。脚注と参考文献も丁寧に列挙されていて後学の便となるであろう。グローバルな視点から観光を考える上で示唆に富む著作であると言えよう。特に日本の国際観光政策の変遷と観光法制に関する部分は大学における観光学教育の教科書としても有用であると思われる。


